- 2024年12月16日
耳垢(みみあか)の話
耳垢には乾燥している乾性耳垢と少し水分を含んでいる湿性耳垢があります。ヨーロッパやアフリカの人々では、ほとんどが湿性耳垢で、日本を含む北東アジアは乾性耳垢が多く、日本人の乾性耳垢の割合は7-8割といわれております。この耳垢のタイプは遺伝することが昔から知られておりましたが、その遺伝子に関する論文が発表になったのは2006年であり、日本人の功績です。
A SNP in the ABCC11 gene is the determinant of human earwax type – PubMed
耳垢の主体は脱落した皮膚の角質で、これに腺からの分泌物が混ざったものであり、外耳道と鼓膜の保護、抗菌・抗真菌作用を持っています。また、外耳道皮膚の移動能によって、耳の外側から1cm位まで耳垢が運ばれるので、基本的には鼓膜に近い部分までの耳掃除は必要なく、過剰な耳掃除は推奨されません。 そうはいっても耳掃除を行っている人は多いと思います。耳掃除をしている時に咳が出ることがあるのですが、これは「迷走神経」という神経が耳掃除をすることで刺激され起こっている反射の一つで、アーノルド反射という名前が付いています。多くの場合は片側だけで起こります。病気ではないので心配はいりません。