- 2025年5月19日
一時的な記憶障害・・脳梗塞のことがあります
前日の出来事を覚えてない、ということで来院された方が来院されました。来院日の起床時からの記憶に問題はなく、手足の動き、しゃべる事にも問題はありませんでした。頭部MRI検査を行ったところ脳梗塞がみられました。脳梗塞は記憶に関連する海馬に限局してみられ、小さいものだったので症状も一時的で記憶障害以外の症状もなかったのかもしれません。
一時的な記憶障害で比較的よくみられるのが、一過性全健忘(いっかせいぜんけんぼう)とてんかんです。どちらもMRIでは異常がみられないことが多いです。
一過性全健忘とは、突然、数時間から1日ほどの間、過去の記憶や現在の出来事を覚える力が一時的に失われる状態です。ただし、自分の名前や家族のことなど基本的な情報は覚えていることが多く、時間が経つと徐々に回復するもので、原因ははっきりわかっていません。一過性全健忘の場合には、特に治療は必要ありません。
脳梗塞の場合には、脳梗塞の再発予防のための治療が必要となってきます。症状だけでは診断することはできず、脳梗塞の場合には再発時に重大な後遺症をきたすこともありますので、一時的な記憶障害があった場合には念のため頭部MRIなどで検査することをお勧めします。