• 2025年7月6日

ツーンと脳に効く?──ワサビと記憶力の意外な関係

ワサビの辛味の正体は、「6-MSITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)」という成分。ちょっと長くて覚えづらい名前ですが、この天然の化合物が抗酸化作用や抗炎症作用を持つことは以前から知られていました。そして近年、この6-MSITCが脳にもよい影響を与えるという研究が、注目を集めています。

日本の研究グループが高齢者を対象に行った臨床試験では、6-MSITCを含むサプリメントを12週間にわたって摂取したところ、記憶力や作業記憶(ワーキングメモリ)に改善が見られたと報告されています。さらに、睡眠の質や集中力の向上といった副次的な効果も確認されたというから驚きです。

Benefits of Wasabi Supplements with 6-MSITC (6-Methylsulfinyl Hexyl Isothiocyanate) on Memory Functioning in Healthy Adults Aged 60 Years and Older: Evidence from a Double-Blinded Randomized Controlled Trial – PubMed

では、なぜワサビで記憶力がよくなるのでしょうか?
その秘密は脳の「炎症」と「酸化」にあります。加齢とともに脳内では慢性的な炎症や酸化ストレスが進み、それが認知機能の低下に繋がると考えられています。6-MSITCにはこの炎症を抑える作用があり、また神経細胞の活動をサポートする働きも期待されています。つまり、ワサビの辛味が脳を“守る”盾になってくれているのです。

とはいえ、毎日ワサビを山盛り食べれば記憶力アップ!というわけではありません。研究で使われたのは、成分を濃縮したサプリメントですから、普段の食事から得られる量はほんの少し。ただ、日本の食文化に根付いたワサビを日常に取り入れることは、自然に脳をいたわる習慣になるかもしれません。

食べる楽しみと健康のバランス。
おいしいものを楽しみながら、脳にもちょっとしたご褒美をあげられるとしたら、ワサビはなかなか頼もしい存在かもしれませんね。

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