• 2025年7月27日

「左の親指と人差し指が動かない…」それ、脳梗塞のサインかもしれません

ある日、「朝起きたら、左の親指と人差し指だけが動かないんです」と受診された方がいらっしゃいました。
腕全体は動かせて、歩行もまったく問題なし。感覚も保たれていましたが、確かに左手の親指と人差し指の動きだけが悪くなっているという状態でした。
一見すると、指のケガや神経の障害のようにも思えますが、私たちが疑ったのは脳梗塞です。
すぐにMRI検査を行ったところ、やはり脳の皮質(大脳の表面にある神経細胞の層)に小さな梗塞が見つかりました。

■ 脳梗塞といえば「手足が動かなくなる」イメージ?
脳梗塞というと、顔の片側が下がる、半身が動かなくなる、ろれつが回らない…といった典型的な症状を思い浮かべる方が多いと思います。
たしかに、脳の中の「錐体路(すいたいろ)」という手足の動きを司る神経が傷つくと、手足全体の麻痺(片麻痺)につながります。
でも実は、脳のどこに梗塞が起こるかによって、出る症状はさまざまなのです。
今回のように、「指だけが動かない」という場合でも、脳の表面にある運動野(皮質)で血流が途絶えた結果として起こることがあります。
とくに手や指の運動は、脳の中でもかなり限局した場所が担当しているため、梗塞の範囲が狭ければ、こういった“ピンポイントの麻痺”になるのです。

■ 高血圧・糖尿病・脂質異常症…放置していませんか?
この患者さんは、以前から高血圧を指摘されていたものの、特に治療を受けておられませんでした。
不整脈は見られず、動脈硬化によるタイプの脳梗塞と考えられ、治療を開始しました。
幸い、梗塞の範囲は小さく、利き手ではなかったこともあり、リハビリでの回復が見込まれています。
ただしこれは「たまたま軽くてすんだ」だけで、次も軽いとは限りません。
高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、症状が出ないまま静かに進行し、ある日突然脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる病気を引き起こすことがあります。
「症状がないから大丈夫」ではなく、症状がないうちから治療・管理することがとても重要なのです。

■ 指の動きが悪いだけでも要注意!
手の一部だけが動かない、しびれる、違和感がある…そんなときも、実は脳からのサインかもしれません。
「たいしたことない」と放置せず、早めに医療機関を受診することで、大きな後遺症を防ぐことができます。
当院では、頭痛やしびれ、手足の動かしにくさなど、気になる症状があればお気軽にご相談いただけます。
日々の健康管理や生活習慣病のフォローも含め、皆さまの健康をサポートしてまいります。

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