- 2025年11月9日
「頭痛薬の飲みすぎ」が原因? ― 薬物乱用頭痛について
頭痛がひどいときに鎮痛薬を飲むのは自然なことです。しかし、「薬を飲む回数が増えるほど頭痛が悪化する」という悪循環に陥ることがあります。この状態を薬物乱用頭痛(やくぶつらんようずつう)といいます。
薬物乱用頭痛は、市販の頭痛薬や処方薬を月に10〜15日以上の頻度で長期間使用しているうちに起こることが多いです。最初は片頭痛や緊張型頭痛などの持病に対して薬を使っていたのに、気づけば「薬を飲まないと頭が痛くなる」「効きが悪くなってきた」と感じるようになります。
症状としては、ほぼ毎日のように頭が重い・ズキズキ痛む・朝から頭痛があるなど、以前より痛みが持続する傾向があります。痛み止めを飲むと一時的に楽になりますが、効果が切れると再び痛みが戻り、さらに薬を飲む――この繰り返しで頭痛が慢性化してしまいます。
原因となる薬は、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)やトリプタン製剤、エルゴタミン製剤などさまざまです。どの薬も正しく使えば安全ですが、長期に頻繁に服用することが問題です。
治療の基本は、原因となっている薬を減らすことです。いきなり中止すると頭痛が悪化することがあるため、医師の指導のもとで少しずつ薬を減らしていきます。また、頭痛のタイプに応じて予防薬を使い、頭痛の起こりにくい状態を作ることも大切です。
薬物乱用頭痛は、適切な治療と生活改善で多くの場合改善します。痛みが続くからといって自己判断で薬を飲み続けるのではなく、「最近薬が増えてきたな」と感じた時点で、早めにかかりつけ医や頭痛専門医に相談しましょう。