• 2025年12月10日

マイクロスコープでのインフルエンザ検査って、何を見ているの?

最近、当院では「鼻に綿棒をぐっと入れる従来の検査」ではなく、のどの奥を軽く撮影するだけで行えるインフルエンザ検査を導入しました。これは、“マイクロスコープ(高精細カメラ)”で撮影した画像をAIが解析し、インフルエンザのサインを見つける新しい方法です。
「のどを見るだけで本当に分かるの?」
そう思われる方も多いと思います。では実際に、どんな所見を見ているのでしょうか。

インフルエンザ感染で起こる、のど粘膜の特徴的な変化
インフルエンザウイルスに感染すると、咽頭後壁(のどの奥)に特徴的な炎症所見があらわれます。
体にウイルスが侵入すると免疫応答のためリンパ球が集まり、リンパ濾胞と呼ばれる小さな膨らみをつくります。

インフルエンザでは、このリンパ濾胞が
・大きさ
・形
・分布のしかた
に特徴があり、これが診断に役立つことが分かっています。
さらに、マイクロスコープは細かい血管の充血まで映すため、肉眼では気づきにくい初期の変化もとらえやすいのが特徴です。AIはこれらの細かな所見を解析し、「インフルエンザらしさ」を統計的に判定します。
またAIは、
・咽頭画像
・体温
・これまでの症状(問診内容)
なども総合的に判断するため、正確な問診も重要です。

従来のインフルエンザ検査キットとの比較
マイクロスコープ+AIによるインフルエンザ検査は、感度76.0%・特異度88.1% と公表されています。
これは従来の迅速インフルエンザキットと同等以上で、キットの種類によってはAI検査のほうが診断率が高いこともあります。
さらに大きな利点は、発症して早い段階から診断が可能なこと。
発熱後 5時間程度 から判定が可能とされており、迅速キットより早い段階で陽性となる点が大きなメリットです。

マイクロスコープ検査で分からないこと

ひとつ注意点として、
インフルエンザA・Bの型の区別はできません。
必要に応じて従来のキットと組み合わせて診断します。

マイクロスコープによるインフルエンザ検査は、のどの炎症の細かなサインを画像でとらえ、AIが解析するという、新しい診断方法です。
少ない負担で発症から早い段階で診断可能な検査です。

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