- 2026年10月4日
しゃっくりが止まらない!原因は何?病気が隠れていることも?―しゃっくりの仕組みと、自宅でできる対処法・病院での治療―
「食事をした後にしゃっくりが止まらなくなった」
「お酒を飲むとしゃっくりが出る」
「何時間もしゃっくりが続いて困っている」
誰もが一度は経験したことのある「しゃっくり」。ほとんどの場合は自然に止まるため、あまり気にすることはないかもしれません。
しかし、しゃっくりが何日も続く場合には、胃や食道の病気だけでなく、脳の病気が隠れている可能性もあります。
そもそも、しゃっくりはなぜ起こるの?
しゃっくりは、医学的には「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれます。
私たちが呼吸をするときには、胸とお腹の境目にある「横隔膜」という筋肉が重要な役割を果たしています。
しゃっくりは、この横隔膜などの呼吸に関係する筋肉が突然、不随意に収縮することで起こります。
その際、声門が急速に閉じるため、「ヒック」という特徴的な音が出ます。
この反射には、主に以下の神経が関係しています。
・迷走神経: 胃や食道などの内臓からの情報を伝える神経
・横隔神経: 横隔膜の運動を支配する神経
・脳幹: 呼吸や嚥下など、生命維持に重要な機能を調節する部分
これらが関係する反射回路が刺激されると、しゃっくりが起こると考えられています。
つまり、しゃっくりは単に胃の問題ではなく、神経系とも深く関係している現象なのです。
しゃっくりが起こる主な原因
① 食べ過ぎ・早食い・炭酸飲料
最も身近な原因は、胃が急激に膨らむことです。
例えば、食べ過ぎや早食い、炭酸飲料の摂取などによって胃が膨らむと、迷走神経などが刺激され、しゃっくりが起こることがあります。
また、アルコールの摂取や、極端に熱いもの・冷たいものを急に飲食することも誘因になる場合があります。
このようなしゃっくりは通常、一時的なもので自然に治まります。
② 胃や食道の病気
しゃっくりが繰り返し起こる場合には、消化器の病気が関係していることがあります。
代表的なのが、胃酸が食道に逆流する「胃食道逆流症」です。
胃酸による食道への刺激が、しゃっくりの原因になることがあります。
また、胃の過度な拡張や食道の炎症なども原因となる場合があります。
胸やけ、げっぷ、胃もたれなどを伴う場合には、消化器疾患についても確認する必要があります。
③ 薬の副作用や代謝異常
意外かもしれませんが、薬の副作用によってしゃっくりが起こることもあります。
例えば、一部のステロイド薬や抗がん剤、麻酔に関連する薬剤などが原因になる場合があります。
また、腎機能の低下による尿毒症や電解質異常など、体内の代謝環境の変化が関係することもあります。
新しい薬を飲み始めてからしゃっくりが続く場合には、医師に相談してください。
自己判断で処方薬を中止することは避けましょう。
④ ストレスや精神的な要因
強い緊張や興奮、精神的ストレスなどが、しゃっくりの誘因になることもあります。
ただし、長期間続くしゃっくりを、検査せずにストレスだけが原因と判断することは適切ではありません。
まずは身体的な病気が隠れていないか確認することが大切です。
注意したい!脳の病気によるしゃっくり
しゃっくりと脳の病気は、一見すると関係がないように思えるかもしれません。
しかし、しゃっくりに関係する神経回路には脳幹が関与しているため、脳幹に異常が生じると、しゃっくりが長時間続くことがあります。
特に注意したいのが、延髄外側梗塞(ワレンベルグ症候群)です。
延髄は脳幹の一部で、呼吸や嚥下、自律神経などの調節に重要な役割を担っています。
延髄外側梗塞では、しゃっくりのほかに、次のような症状が現れることがあります。
・突然のめまい
・吐き気や嘔吐
・ふらつき、歩行障害
・飲み込みにくさ
・声のかすれ
・顔や体の感覚異常
特に、突然しゃっくりが始まり、めまいや歩行障害、飲み込みにくさなどを伴う場合には、脳卒中の可能性があるため、直ちに救急受診が必要です。
また、頻度は高くありませんが、脳腫瘍や脳幹の炎症性疾患などによってしゃっくりが続くこともあります。
しゃっくりは何時間続いたら病院に行くべき?
しゃっくりは、持続時間によって次のように分類されます。
・一過性吃逆:48時間未満
・持続性吃逆:48時間以上、1か月未満
・難治性吃逆:1か月以上
通常のしゃっくりは数分から数時間で自然に治まります。
しかし、48時間以上続く場合には、原因となる病気が隠れている可能性があるため、医療機関での診察をおすすめします。
また、48時間以内であっても、食事や睡眠が十分にとれない場合には受診が必要です。
しゃっくりに突然のめまいや麻痺などの神経症状が伴う場合には、48時間待たずに救急受診してください。
自宅でできる、しゃっくりの止め方
一時的なしゃっくりであれば、自宅でできる方法を試してみてもよいでしょう。
① ゆっくり水を飲む
冷たい水などを少量ずつ、ゆっくり飲む方法があります。飲み込む動作によって、しゃっくりに関係する反射回路に影響を与える可能性があります。
② ゆっくり呼吸を整える
深く息を吸い、無理のない範囲で数秒間息を止め、その後ゆっくり吐き出します。
呼吸のリズムを変えることで、しゃっくりが止まる場合があります。
ただし、心臓や呼吸器に病気のある方、息苦しさを感じる方は無理をしないでください。
③ 食事や飲み物を見直す
しゃっくりを繰り返す方は、早食いや食べ過ぎを避け、炭酸飲料やアルコールの摂取を控えてみましょう。
なお、これらの方法には十分な科学的根拠が確立されているわけではなく、必ず止まるとは限りません。
紙袋を使った呼吸法など、酸素不足を招くおそれのある方法はおすすめできません。
病院ではどのような検査・治療をするの?
しゃっくりが長期間続く場合には、まず原因を調べることが重要です。
診察では、しゃっくりが始まった時期や持続時間、食事との関係、服用中の薬、その他の症状などを確認します。
必要に応じて、血液検査、胸部画像検査、胃内視鏡検査などを検討します。
神経症状を伴う場合や、脳の病気が疑われる場合には、MRIなどの画像検査が必要になることもあります。
薬による治療
原因となる病気が見つかった場合には、その病気の治療を優先します。
例えば、胃食道逆流症が原因と考えられる場合には、胃酸の分泌を抑える薬などを使用します。
原因に対する治療だけでは改善しない場合や、原因が特定できない場合には、しゃっくりを抑える薬を検討することがあります。
使用されることがある薬には、次のようなものがあります。
・バクロフェン: 筋肉の緊張や神経の興奮を抑える作用を持つ薬
・ガバペンチン: 神経の興奮を調節する薬
・クロルプロマジン: 持続するしゃっくりに使用されることがある薬
ただし、これらの薬には眠気やふらつきなどの副作用があり、しゃっくりに対する使用が国内で保険適用外となる薬もあります。
患者さんの年齢や持病、腎機能、併用薬などを考慮して、医師が治療方法を判断します。
難治性の場合には、専門医療機関での治療が必要になることもあります。
たかがしゃっくり、されどしゃっくり
しゃっくりは、誰にでも起こる身近な症状です。
ほとんどの場合は自然に治まりますが、長時間続く場合には、食事がとれなくなったり、眠れなくなったりして、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
また、まれではありますが、胃や食道の病気、薬の副作用、代謝異常、脳卒中などが原因となっている場合もあります。
特に覚えておいていただきたいのは、次の2点です。
・48時間以上しゃっくりが続く場合は、医療機関を受診しましょう。
・しゃっくりに突然のめまいや歩行障害、飲み込みにくさなどが伴う場合は、脳卒中の可能性も考え、直ちに救急受診してください。
「しゃっくりがなかなか止まらない」「何度も繰り返す」といった症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。