- 2026年7月19日
- 2026年7月18日
「片目が急に真っ暗になった…」それは一過性黒内障かもしれません
「数分間だけ片目が真っ暗になった。」
「カーテンが上から降りてくるように見えた。」
「しばらくすると元に戻ったから、そのまま様子を見ていた。」
このような症状は一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)と呼ばれ、脳梗塞の前触れである可能性があります。
「もう治ったから大丈夫」と考えて放置すると、その後に脳梗塞を発症することもあるため注意が必要です。
一過性黒内障とは?
一過性黒内障とは、片目だけの視力が一時的に低下したり、見えなくなったりする症状です。
数秒から数十分で自然に改善することが多いものの、その原因として最も重要なのが網膜へ血液を送る動脈が一時的に詰まることです。
多くの場合、頸動脈や心臓でできた小さな血栓が眼の血管に流れ込み、一時的に血流を妨げることで起こります。
つまり、一過性黒内障は「目の病気」ではなく、「血管の病気」であることが少なくありません。
一過性黒内障は、一過性脳虚血発作(TIA)の一種であることがあります。
TIAは脳梗塞の前兆であり、
・発症後48時間以内
・特に最初の数日間
に脳梗塞を起こす危険性が高いことが知られています。
そのため、症状が改善していても早めの受診が必要です。
一過性黒内障でよくみられる症状は
・片目だけ突然見えなくなる
・黒いカーテンが降りてくるように感じる
・視野の一部だけが欠ける
・数分で元に戻る
・痛みはほとんどない
「片目だけ」という点が重要な特徴です。
一時的な視力低下には、一過性黒内障以外にもさまざまな病気があります。
① 片頭痛(閃輝暗点・網膜片頭痛)
片頭痛では、
・ギザギザした光が見える
・キラキラ光る
・視野が欠ける
といった症状が現れ、その後に頭痛が起こることがあります。
多くは両眼で同じような症状を感じるため、一過性黒内障とは異なることが多いですが、片目だけに症状が出る「網膜片頭痛」は鑑別が必要です。
② 網膜剥離
・飛蚊症が急に増える
・光が走る(光視症)
・視野の一部が欠ける
などの症状があり、自然には改善しません。
放置すると失明の危険があるため、眼科での早急な診察が必要です。
③ 硝子体出血
糖尿病や網膜の病気などが原因で起こります。
・黒い影が増える
・視界がかすむ
・赤黒く見える
といった症状がみられます。
④ 視神経炎
若い方に多く、
・視力低下
・眼球を動かすと痛い
・色が分かりにくい
などが特徴です。
⑤ 急性閉塞隅角緑内障
・激しい眼痛
・頭痛
・吐き気
・視力低下
を伴い、緊急治療が必要です。
⑥ 脳梗塞
一過性黒内障と同時に、
・手足のしびれ
・力が入らない
・ろれつが回らない
・めまい
などがある場合は、脳梗塞の可能性が高くなります。
一過性黒内障では、症状が改善していても脳梗塞が隠れていることがあります。
そのような理由からも、一過性黒内障があった場合には脳のMRI検査が必要です。
MRIでは、
・ごく小さな脳梗塞
・発症直後の脳梗塞
を高い精度で見つけることができます。
さらにMRA(脳血管MRI)を併せて行うことで、一過性黒内障の原因となる
・頸動脈狭窄
・脳動脈狭窄
・動脈閉塞
なども評価できます。
必要に応じて、
・頸動脈超音波検査
・心電図
・心エコー
・血液検査
などを組み合わせ、血栓の原因を調べることも重要です。
一過性黒内障は、「一時的に見えなくなっただけ」と軽く考えられがちですが、脳梗塞の前触れである可能性がある重要なサインです。
症状が消えても安心せず、原因を調べることが大切です。
「片目が一時的に見えなくなった」「視界がおかしい」「脳梗塞ではないか心配」という方は、お早めにご相談ください。
「治ったから大丈夫」ではなく、「治った今だからこそ原因を調べる」ことが、将来の脳梗塞を防ぐ第一歩です。