• 2026年7月5日

血圧をしっかり管理すると認知症は予防できる?~脳を守るために今日からできること~

「血圧が少し高いだけだから大丈夫。」
「認知症は年齢のせいだから、防ぎようがない。」
そう思っていませんか?
実は近年の研究では、高血圧は認知症の予防できる危険因子の中でも、最も重要なものの一つであることが分かってきました。
血圧を適切に管理することは、脳卒中や心臓病を防ぐだけでなく、将来の認知症リスクを減らすことにもつながります。
今回は、血圧と認知症の関係、そして今日からできる予防法についてご紹介します。

血圧が高いと、なぜ認知症になりやすいの?
脳には無数の細い血管が張り巡らされています。
高血圧が長く続くと、これらの細い血管が少しずつ傷つきます。
すると、
・血流が悪くなる
・小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)が起こる
・脳の白質が傷つく(白質病変)
・脳出血のリスクが高まる
などの変化が起こり、認知機能が徐々に低下していきます。
これを「血管性認知症」といいます。

アルツハイマー型認知症とも関係があります
以前は、「アルツハイマー病は血圧とは関係ない」と考えられていました。
しかし現在では、高血圧がアルツハイマー病の発症リスクを高める可能性があることが多くの研究で示されています。
高血圧によって脳の血流が低下したり、アミロイドβという異常なたんぱく質が脳から排出されにくくなったりすることが、その一因と考えられています。
つまり、高血圧は血管性認知症だけでなく、アルツハイマー型認知症にも関係する可能性があります。

特に大切なのは「中年期」の血圧管理
認知症予防で重要なのは、「認知症になってから」ではなく、「認知症になる何十年も前」から血圧を管理することです。
40~60歳頃の高血圧が、20~30年後の認知症リスクを高めることが分かっています。
そのため、「まだ若いから大丈夫」ではなく、40代・50代からの血圧管理が、将来の脳を守る第一歩なのです。

血圧を下げると認知症は減る?
近年の研究では、血圧を適切にコントロールすることで、
・脳卒中が減る
・軽度認知障害(MCI)が減る
・認知症の発症を抑えられる可能性
が報告されています。
もちろん、血圧だけですべての認知症を防げるわけではありませんが、予防できる危険因子として非常に重要です。

今日からできる認知症予防
① 血圧を測る習慣をつける
高血圧には自覚症状がほとんどありません。
家庭血圧を毎日測定し、自分の血圧を知ることが第一歩です。
一般的には、家庭血圧で135/85mmHg未満が目標とされていますが、年齢や持病によって目標値は異なるため、主治医と相談しましょう。
② 塩分を控える
日本人は塩分を摂り過ぎる傾向があります。
・ラーメンの汁を飲み干さない
・漬物や加工食品を控える
・だしや香辛料を利用する
などの工夫で塩分摂取量が減り、血圧管理につながります。
③ 適度な運動を続ける
ウォーキングなどの有酸素運動は、
・血圧を下げる
・脳の血流を改善する
・認知機能を維持する
ことが期待されています。
目安は1日30分程度、週に5日以上です。
④ 質の良い睡眠をとる
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や認知症のリスクを高めます。
いびきがひどい、昼間の眠気が強い方は、一度検査を受けることをおすすめします。
⑤ 糖尿病や脂質異常症も治療する
認知症は、高血圧だけでなく、
・糖尿病
・脂質異常症
・肥満
・喫煙
なども関係しています。
これらを総合的に管理することが、脳の健康につながります。
⑥ 人との交流や趣味を楽しむ
運動だけでなく、
・読書
・会話
・音楽
・囲碁・将棋
・ボランティア
など、人との交流や脳を使う活動も認知症予防に役立つと考えられています。

「血圧は正常だから安心」とは限りません
診察室では正常でも、自宅では高い「仮面高血圧」や、反対に診察室だけ高い「白衣高血圧」という状態があります。
そのため、家庭血圧を継続的に測定することが非常に重要です。
また、血圧が低すぎても、特に高齢者ではふらつきや転倒の原因になることがあります。自己判断で薬を中止したり減らしたりせず、主治医と相談しながら管理することが大切です。

認知症は年齢だけが原因ではありません。
高血圧をはじめとする生活習慣病を適切に管理することで、認知症のリスクを減らせる可能性があります。
脳は一度大きく傷つくと元に戻すことが難しい臓器です。だからこそ、「症状が出る前」の予防が何より大切です。
血圧を測る、塩分を控える、体を動かす、よく眠る──こうした日々の積み重ねが、10年後、20年後の脳の健康につながります。

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