• 2026年5月31日

朝起きたら手に力が入らない…これって脳梗塞?

朝起きたときに、
・「手首が持ち上がらない」
・「指に力が入らない」
・「コップを持とうとしても手がだらんとしてしまう」

このような症状が突然現れると、「脳梗塞ではないか?」と不安になる方も多いでしょう。

実際に、当院にも「朝起きたら急に手が動かなくなった」という理由で受診される方がいらっしゃいます。
しかし、その原因が必ずしも脳梗塞とは限りません。
その代表的なものが 橈骨(とうこつ)神経麻痺 です。

橈骨神経麻痺とは?
橈骨神経は、首から腕を通って手まで伸びている神経です。
この神経は、
・手首を反らす
・指を伸ばす
といった動きを担当しています。
何らかの原因で橈骨神経が圧迫されると、手首や指を持ち上げることができなくなります。
これを「下垂手(かすいしゅ)」と呼びます。
よくある症状
・手首が垂れ下がる
・指を伸ばせない
・手の甲のしびれ
・ペットボトルやコップを持ちにくい
一方で、肩や肘を動かす力は保たれていることが多く、顔や足に症状はありません。

寝ている間の姿勢が原因になることも
橈骨神経麻痺は、寝ている間に腕が長時間圧迫されることで起こることがあります。
例えば、
・ソファで腕を圧迫したまま寝てしまった
・飲酒後に深く眠り込み同じ姿勢が続いた
・腕枕をしたまま長時間寝た
・枕やベッドの縁に腕を乗せて寝ていた
などです。
英語では「Saturday night palsy(サタデーナイト麻痺)」や「Honeymoon palsy(ハネムーン麻痺)」とも呼ばれます。
これは、週末の土曜日の夜にお酒を飲んだ後、椅子やソファで不自然な姿勢のまま深く眠り込み、腕が長時間圧迫されることで発症する事や、新婚時代にパートナーへ腕枕をしたまま眠ってしまい、翌朝になって手首が上がらなくなったという事に由来します。
朝起きたら突然症状に気づくため、「寝る前は何ともなかったのに、朝になったら手が動かない」という経過をたどります。

脳梗塞との見分けは難しい
橈骨神経麻痺は神経の圧迫による病気ですが、症状だけを見ると脳梗塞と区別が難しいことがあります。
脳梗塞でも、
・手に力が入らない
・指が動かしにくい
という症状が現れることがあるためです。
特に、
・顔のゆがみ
・ろれつが回らない
・足の力が入りにくい
・歩きにくい
といった症状を伴う場合は脳梗塞の可能性が高くなります。
しかし、脳梗塞の初期には手だけの症状で始まることもあり、症状だけで完全に判断することはできません。

MRIによる検査が重要です

「手に力が入らない」という症状が突然出た場合には、脳梗塞を見逃さないことが何より重要です。
そのため、
・神経の圧迫による橈骨神経麻痺なのか
・脳梗塞なのか
を見極めるためにMRI検査が必要になることがあります。
脳梗塞は早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。
「朝起きたら急に手が動かない」
「手首が垂れ下がっている」
といった症状がある場合は、自己判断せず早めに医療機関へご相談ください。

まとめ

朝起きたときの手の脱力は、脳梗塞だけでなく橈骨神経麻痺が原因の場合があります。
橈骨神経麻痺は寝ている間の姿勢によって起こることがあり、多くは時間とともに改善します。しかし、症状だけで脳梗塞と完全に区別することは困難です。
突然の手の麻痺やしびれが現れた場合は、「寝違えかな」と様子を見るのではなく、まずは脳梗塞の可能性を確認することが大切です。
気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。

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