• 2026年7月26日

「まだ若いから大丈夫」は危険です ~クリニック前で起きた熱中症から考える予防の大切さ~

先日、当院の近くを歩いていた若い方が突然体調を崩し、その場で倒れてしまう出来事がありました。
近くにいた方が急いで当院へ知らせてくださり、スタッフが現場へ向かいました。意識や呼吸、脈拍などを確認しながら、体を冷やすなどの応急処置を行い、その後、速やかに医療機関へ搬送されました。
幸い迅速な対応につながりましたが、この出来事を通して改めて感じたのは、熱中症は真夏の8月だけでなく、暑さが始まったばかりの7月から十分に起こり得るということです。

熱中症は「暑さに慣れていない今」が危険です
7月になると気温が30℃を超える日が増えてきますが、体はまだ暑さに十分慣れていません。
人の体は、暑い環境に少しずつ適応する「暑熱順化(しょねつじゅんか)」という仕組みがあります。しかし、この順化には通常1~2週間ほどかかります。
そのため、暑くなり始めた時期は汗をうまくかけず、体温を十分に下げられないため、熱中症になりやすくなります。
「まだ7月だから」「少し暑いだけだから」と油断せず、早い時期から熱中症対策を始めることが大切です。

熱中症はなぜ起こる?
私たちの体は汗をかくことで熱を逃がしています。
しかし、
・気温や湿度が高い
・水分や塩分が不足している
・長時間屋外にいる
・体調が悪い
・睡眠不足
などが重なると体温調節ができなくなり、熱中症を起こします。

このような症状は要注意
初期には
・めまい
・立ちくらみ
・大量の汗
・足がつる
・強い疲労感
などがみられます。
進行すると
・頭痛
・吐き気
・嘔吐
・集中力の低下
さらに重症になると
・意識がもうろうとする
・呼びかけに反応しない
・けいれん
・歩けない
など、命に関わる状態になります。

応急処置で大切なのは「体を冷やすこと」
熱中症が疑われたら、
まずは
・日陰や冷房の効いた場所へ移動する
・衣服をゆるめる
・水分が飲めるようなら水分・塩分を補給する
ことが大切です。
さらに効果的なのが体を冷やすことです。
保冷剤や氷があれば、
・首
・わきの下
・足の付け根
など太い血管が通る場所を冷やすと効率よく体温を下げることができます。
また、外出先では冷えたペットボトルや缶飲料を手のひらに当てて冷やすのもおすすめです。
手のひらには動静脈吻合(AVA)という特殊な血管が多く存在し、ここを冷やすことで体の深部の熱を効率よく逃がすことができます。保冷剤がない場面でも実践しやすい方法です。

高齢者は特に注意
高齢になると
・暑さを感じにくい
・のどの渇きを感じにくい
・汗をかきにくい
ため、自覚がないまま熱中症が進行することがあります。
また、小さなお子さんも体温調節機能が未熟なため注意が必要です。

熱中症を防ぐために
毎日の生活で次のことを心掛けましょう。
・のどが渇く前からこまめに水分を飲む
・汗を多くかいたときは塩分も補給する
・帽子や日傘を利用する
・外では無理をせず休憩を取る
・エアコンを適切に使用する
・十分な睡眠を取る
・軽い運動や入浴などで暑さに体を慣らす(暑熱順化)

地域の皆さまに支えられて
今回、迅速に応急処置ができたのは、近くにいた方がすぐに当院へ知らせてくださったおかげです。
地域の方の「助けよう」という行動が、患者さんの命を守る大きな力になりました。
当院も地域のクリニックとして、日々の診療だけでなく、このような緊急時にもできる限り地域の皆さまのお役に立てるよう努めてまいります。

熱中症は、気温が最も高くなる8月だけの病気ではありません。むしろ、暑さに体が慣れていない7月こそ注意が必要です。
「少し疲れただけかな」と思っていても、熱中症の始まりであることがあります。
体調に異変を感じたら無理をせず、涼しい場所で休み、水分・塩分を補給し、首やわきの下、足の付け根、そして冷たいペットボトルなどで手のひらを冷やすことも意識してみてください。
症状が改善しない、意識がはっきりしない場合には、ためらわず救急車を呼びましょう。

秋葉町ゆいクリニック 050-3355-5321 ホームページ