骨粗しょう症とは

骨粗しょう症のイメージ写真

骨粗しょう症とは、骨の中に含まれる骨量(カルシウムやリンなどのミネラル成分の量)が低下し、それによって骨の中身がスカスカとなって骨折しやすくなる病気のことです。
自覚症状は出にくいとされており、転倒して手を着いたといったような軽い衝撃で骨折をしてしまい、そこで初めて骨粗しょう症であることに気づくという患者さまも多くいらっしゃいます。骨粗しょう症の患者さまが骨折しやすい骨は、手首の骨、脊椎(多くは腰の骨である腰椎)、太もも付け根の骨(大腿骨)、肋骨、骨盤などです。
骨粗しょう症の発症要因としては、主に以下の2種類に分けられます。

原発性骨粗しょう症 原因と特定できる疾患がないとされる骨粗しょう症です。
  • 閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の減少
  • 加齢によるカルシウム吸収能力の低下
などにより発生します。骨粗しょう症の大半はこれに該当します。
続発性骨粗しょう症 原因がはっきり特定できる骨粗しょう症です。多くは何らかの病気が引き金になることが多いです。関節リウマチ、糖尿病、甲状腺機能亢進症等の内分泌疾患が挙げられます。またステロイド薬などの長期投与が原因の薬剤性、寝たきりなど骨に負荷をかけられない状態が続くことで発症する不動性などのケースも含まれます。

検査について

骨粗しょう症が疑われる場合、X線により検査のほか、骨密度(単位面積当たりの骨量)の検査を行います。
この場合、YAM値(若年成人平均骨密度)と呼ばれる数値と比較して、70%以下である(脆弱性骨折がない場合)と判定されると骨粗しょう症と診断されます。
骨密度の検査にはいくつかの種類ありますが、当院では「DEXA法」による検査を行っております。DEXA法では2種類の異なるX線を照射して検査します。X線での検査なので放射線が出ますが、体に影響のない微量な量なので、気にされなくても大丈夫です。計測部位は全身どの部位でも可能ですが、主には腰椎や大腿骨近位部の骨密度を計測します。そのほか血液検査や尿検査等によって、原因と考えられる基礎疾患の有無を確認することもあります。

治療について

骨の生活習慣病とも言われる骨粗しょう症では、日頃のライフスタイルの見直しが重要です。食事面では、骨の形成に役立つとされている、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品をとります。食品添加物、ナトリウム、カフェインを含む食品はまた骨の代謝に悪影響とされているため、できるだけ避けるようにします。
また骨を強くさせるために、運動も取り入れます。具体的には1日30分程度のウォーキング、水中ウォーキングなどを行います。また転倒を防止するために筋力トレーニングや体幹をきたえることも有効です。
これらと併行して薬物療法も行われます。主には骨代謝で骨を破壊する破骨細胞の働きを抑制する効果があるとされる骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、SERM 等)、あるいは骨を形成するとされる骨芽細胞の働きを促進させる効果があるとされる骨形成促進薬(PTH製剤 等)が用いられます。そのほか患者さまの症状や状態に応じて、ビタミンD製剤やカルシウム製剤が使われることもあります。